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ステロイド剤の使用には、ご用心

皮膚科/耳鼻科

プレドニゾロン製剤、
いわゆるステロイド剤。
いろんな剤型があります。
内服薬(飲み薬)、
外用薬(塗り薬)、
点眼薬に点耳薬、
もちろん注射薬も。

ステロイド剤は、
適切かつ的確な投与を心掛ければ、
ものずごく良い薬です。

ただ、
間違った使い方をすると、
困ったことになるケースも。

表題の画像は、
犬の耳の写真です。
この犬は、慢性の外耳炎があったそうで、
かなり長期間に渡り
耳にステロイドの外用薬を塗るように指示されていたそうです。
ずっと塗っていると、
耳の毛が抜けてきて、
つるつるになってきたと言って、
診察に来られました。


耳の毛がほとんどありません。
しかも、
耳の皮膚も薄くなっていて、
血管が強く浮いています。

ステロイド剤の長期投与によって、
皮膚が薄くなり、
毛の成長周期も止まり、
毛包(毛穴)が委縮している。
私の診断です。

そこで、
ステロイド剤の使用を中止するように指示し、
外耳炎の治療は
ステロイド剤ではない
内服に切り替えました。
(外耳炎の犬は、だいたいはアレルギー性皮膚炎です)

すると


耳の皮膚が厚みを持ち、
うっすらと毛が生えてきています。
耳の色が違うでしょ。
赤く透けるような様子がなくなりました。


しっかり毛が生えてきました。
飼い主さんも、うれしそうでした。
耳に毛がないのは、
目立ちますから。



「ステロイドは良くない薬だ」と
思っている人が一定数存在する。
分からなくもないが、
間違いでもある。
ステロイドは、本当は良い薬なのだ。

今回紹介した症例は、
「ステロイドが良くない薬だ」に繋がる
1例ではあった。
それは否めない。