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膝蓋骨脱臼 どうする? NEW

整形外科

前回紹介したレントゲン写真です。
本来緑の丸にあるべき膝蓋骨が、
オレンジの丸の位置に
脱臼してしまっています。

さて、
どうしましょう?
手術をするべきか、
そこが問題です。

膝蓋骨脱臼は、
その悪さの程度で分類がなされ
グレードで4段階に分けられます。

上の写真の犬は、
グレード2でした。
このグレードはレントゲン検査で判断は難しく、
主に触診で判断することになります。

そして、
成書によれば、
グレード3以上で手術適応と書かれています。
ただ、
「成書通りにグレード3だから手術」という考え方では、
なくなってきているのが現状です。
端的に言うと、
「膝蓋骨脱臼に伴う症状があれば手術適応」と
判断することが多いのではないでしょうか。

この「症状」とは、
・足をあげる
・足をかばう
がわかりやすいですが、
・飼い主が気付いていないけど、かばっている
も含まれるのです。

これはどのように判断するのか、
大腿骨周りの筋肉の付き方で判断します。
つまり、
慢性的に後ろ足をかばっていれば、
太ももがやせるのです。
足が細くなっていれば、
かばっている可能性があるのです。

実は、
グレード3でも症状がない犬も多いし、
逆にグレード2でも、
症状が顕著な犬もいるのです。

まとめると、
膝蓋骨脱臼があり、
そこから起こる症状がみられれば、
手術を検討することになるのです。



ここからは余談です。

成書通りに考えると、
症状がなくてもグレード3になっていれば
手術を行う必要がある
と書きましたが、

実は、これ、リスクがあります。
手術をすることによって、
足に違和感が現れたりすることがあるのです。

症状のないグレード3で手術をした場合に、
脱臼は治っても、
足を挙げるようになったり、
かばったりするケースがあるのです。

飼い主に、
「手術をして悪くなった」と
最悪な印象を与えてしまうことになるのです。

だからというわけでもないのですが、
症状のない手術は十分な検討が必要でしょう。